北極星☆知恵袋中小企業応援団

事業承継の注意点

後継者不在による後継者難倒産の急増

  近年、経営者の高齢化に加え、長引く新型コロナウイルスの影響により業績が悪化し、後継者の育成や事業承継が間に合わないまま、倒産する企業が急増しています。今後もコロナの影響は続くことが考えられます。その上、いわゆる団塊の世代が引退の時期を迎えつつあります。いざという時に備え、事前に事業承継の方法を真剣に検討しておかなくてはなりません。以下では、事業承継の注意点について述べさせていただきます

 

 

 

事業承継の注意点

 ⑴ Q.後継者としてどのような人が候補として考えられますか?

   A.①親族②従業員③第三者(M&A)が考えられます。最も多いのは、親族(主に子)への承継ですね。

 ⑵ Q.子供に承継させたいのですが、気を付けなくてはならない点は何ですか?

   A.後継者に対する事前の経営者教育はもちろんのこと、支えてくれる従業員の理 解、経営体制を整備しておく必要があります。

   Q.一緒に会社を盛り上げてきた従業員に承継させたい場合はどうですか?

   A.もし、親族がいるのであれば、親族との関係調整はかなりの配慮が必要です。さらに、株式等の資産をいかにして集中させるか工夫が必要です。また、株  

式を買い取る資金調達も課題となります。

   Q.第三者(M&A)による承継の場合はどうですか?

   A.いまだ数は少ないものの、M&Aによる承継も考えられます。親族等の後継者候補がいない場合、広く後継者を求めることができるは魅力的です。もっとも、第三者が後継者となることで、親族、役員・従業員等の理解が不可欠です。また、専門的ノウハウを有する仲介機関への相談も必要となってくるでしょう。

 ⑶ Q.子供に承継させたいと考えているのですが、何から始めればいいのでしょうか?

   A.株式会社の基本原則は、「所有と経営の分離」ですが、実際、中小企業において は「所有と経営が一致」している場合が多いかと思います。

   そして、現経営者の希望通りの者を後継者にするには、その者に間違いなく株式及び事業用資産等(以下、「株式等」といいます。)を承継させることが不可欠 です。そのためには、まず、現経営者の下に株式等の資産を集中させる必要があります。とにもかくにも、今、株式等が誰の下にどれだけあるのか正確に把握することから始めましょう。

   Q.相続税対策で、形式上、株式の名義を子供や妻に変更しています。このままでいいですか?

   A.いいえ。できるだけ早めに現経営者に集約することをおすすめします。

さらに相続が発生し、もはや、実際に誰がどれだけ株式を有しているのか把握

するのも一苦労という会社も少なくありません。

また、現経営者の時には、何ら経営権に争いがなくても、次世代で後継者争いが勃発し、適当に株を割り振っていたら、希望通りの後継者に後を継がせることができなくなったというケースもあります。

   Q.分散させてしまった株式をどうやって集約すればいいですか?

   A.株式譲渡契約+会社法の手続き(譲渡承認手続き、名義書換手続き等)を踏む必要があります。本来分散する際にも、このような手続きが必要なはずですが、手続きを省略して、形式上分散させてしまうケースが多いです。

   Q.それならば、現経営者に集約するのもこっそりやってしまえばいいのではないでしょうか?

   A.適切な手続きを踏まないと、株式の移転自体が否定されるおそれがあります。これから集約させたいと考えるのであれば、法律に則った手続きを踏むべきです。このように、一度分散してしまうと再び集中することは時間も費用もかかることから、そもそも分散させないことが一番です。

   Q.現経営者に株式が集中しています。後継者に株式を移転させる方法はどのようなものがありますか?

   A.上述の通り株式譲渡契約を用いる他、遺言や生前贈与の方法が考えられます。もし遺言という方法を検討するのであれば、有効な遺言となるためには、厳格 な要件を満たす必要がありますので、ご注意下さい。

   Q.後継者以外に親族がいるのですが、遺言、生前贈与をするに当たり気を付けることはありますか?

   A.遺留分(最低限度の取り分)を有する者がいるかどうかについて事前に確認が必要です。遺留分が存在するのに、まったく無視してしまうと、場合によっては、希望する者に承継できないおそれがあります。

 

最後に

色々と述べましたが、事業承継は一朝一夕では完結しません。

  後継者として指名された者も覚悟が必要ですし、支えてくれる従業員の思いも大切にしなくてはなりません。経営者はこのような周囲の思いを考慮しながら、今後の会社をどのようにしたいのか、後継者にどのように承継していってほしいのか、考えをしっかり固めておくことが重要です。

  若い経営者でも突然死や脳卒中等による判断能力の減退が予期せずやってくる可能性があります。そうなれば、思い描いた事業承継は道を閉ざされることになります。引退などまだまだ先のことと思わず、今からでも末永く続く会社を目指して準備を始めてください。  

 

氏名

渡邉 直貴 (わたなべ なおき)

役職名

代表社員

会社名

弁護士法人ブレイス

ブロック名

大阪北ブロック

支部名

阪神支部

HPアドレス

https://brace-law.com/

 

 

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